ニセコヒラフのエースフォー(エース第2クワッド)、ゴンドラになる

 老朽化は明らかで、いつ、どう更新されるのか注目されていたヒラフのエースフォーが、2024年冬シーズンに10人乗りゴンドラになることが発表されました。

https://www.tokyu-rs.co.jp/wp/wp-content/uploads/2022/10/20221005niseko.pdf

 ゴンドラはもうあるし、費用やスキー客の利便性を考えると花園に入れたような6人乗りフードクワッドになるのではないかと予想(期待)していたのですが、グリーンシーズンの誘客開発に本腰を入れて大規模投資するようです。

 

・1985 年に運行を開始した国内最古のクワッドリフト

 そうだったのか!知らなかった。

 

・1時間あたりの輸送量がこれまでの1,800人/時から2,800人/時と大幅に向上

 リフトは通常6秒間隔での運行でクワッドリフトだと2400人/hであることが多いのですが、1800人ということは8秒間隔です。原動機出力の問題だったのか、搬器数の問題だったのか。

 ゴンドラは12秒間隔のものが多いですが、10人乗りゴンドラで2800人/hということは約13秒間隔(90秒で7台)です。6人乗りリフトを6秒間隔なら3600人/hなので輸送効率を考えれば断然6人乗りリフトだったはずですが、夏の観光利用は今のヒラフゴンドラではなくこちらを中心にやっていくということになります。

 

・運転速度も従前の約 1.5 倍(4.0m/秒→新ゴンドラ:6.0m/秒)

 エースフォーの1719mはリフトとしては長かったですが、ゴンドラにすれば短いです。乗車時間が7分10秒から4分47秒に2分23秒短縮される計算ですが、乗車時も降車時も減速待機時間やゲレンデまでの距離が長く、スキーヤーからすれば板の脱着の時間もかかるため、滑り終わってから滑りだすまでの時間はむしろ長くなるかもしれないのが気掛かりです。

 せめて、ヒラフの今のやヴィレッジやアンヌプリのような階段での上り下りが必要なタイプではなく、野沢温泉の新ゴンドラのようにゲレンデとフラットで歩く距離も短い設計であってほしいです。

 

・リフト架け替えに伴い、2023-24 シーズン終了後に解体工事に着手(2022-23 シーズンは通常通り運行)、2024 年冬シーズンに新ゴンドラを運行開始する予定です。

 「2024年冬シーズン」というのは「2023/24」なのか「2024/25」なのか不明瞭だと思います。岩岳のように乗り場も降り場も場所を変えるなら、「2022/23はエースフォー運行…2023年夏に新ゴンドラ建設…2023/24(2024年冬シーズン)から新ゴンドラ運行開始…2023/24シーズン終了後にエースフォー解体」もできますが、同じ場所での架け替えなら「2023/24シーズン終了後にエースフォー解体工事及び新ゴンドラ建設工事に着手・完了…2024/25(2024年冬シーズン)から新ゴンドラ運行開始」になるものかと思います。

 後者だと思うのですが、確信を持てなかったので冒頭でも「2024年冬シーズン」という表現を踏襲しました。さて一体どちらなのでしょうか…。

 

ニセコ地域全体で推し進める、「自転車の聖地」に向けた取組みとして、ダウンヒル、フロートレイルといったマウンテンバイクのコースを備えたゲレンデアクティビティにも対応できるよう、更新されるゴンドラ搬器内にバイクラックを搭載予定

 ウイングヒルズは以前からやっていて(最近はむしろキャンプに注力)、岩岳も力を入れていますが、ゲレンデでお金を掛けずにできる夏のアクティビティとなるとやはりマウンテンバイクなんですね。これをするならゴンドラが必要です。

 

・ゲレンデ中腹における施設のリニューアルも計画しており、グリーンシーズンにおいては羊蹄山のビューを楽しめ、スキーシーズンにおいてはノンスキーヤーでも楽しめる新たなアプレスキーのスポットとなるように計画を推進

 エースヒルのリニューアル、それも取り壊して建て替えかもしれません。ゴンドラ建屋と一体化させる可能性もあります。また、アプレスキーということはナイター時間帯も飲食(酒メイン)を提供するのかもしれません。滑り終わった人にもゴンドラで飲食のために上がってもらうのも、あの位置からの夜景を考えるとアリでしょう。

 

 スキーヤーとしては、距離もそこまでではないしゴンドラは乗り降りが面倒なので、せめてヴィレッジや石打丸山のようなコンビリフトだったらとも思いますが、そうするとコストがさらに上がるとか維持管理が大変だとかあるのでしょうか。

 また、どうせならエース第3リフト降り場の高さまで行ってくれればとも思いますが、降車駅と観光施設をつくるスペース的にも、強風での休止的にもそれが無理なのは明らかです。

 2030年の冬季五輪は、東京五輪の贈収賄スキャンダルで招致活動に暗雲が垂れ込めてしまっていますが、IOCは札幌にしたがってそうです。招致が決まれば、アルペンスキーの特に高速系はニセコでの実施の計画だったと思いますし、2030年度末開業予定の北海道新幹線の札幌延伸も五輪前開業に1年ちょっと前倒しになるでしょうし、ニセコ的には万々歳でしょう。

 コロナ禍でもニセコエリアの土地取引は活発で開発案件が止まることはなく、五輪がなくてもインバウンドはまだまだ増えるという外資系の勢いの中で唯一の大手国内資本の東急としても、グランデコは切り離すなどしながら有望なニセコに集中するということのようです。