これでここ5年のうち4年が、年内に全面可となるスキー場がほぼない状況。バブル期から滑ってはいるが、スキー場のオープン状況を注視するようになったのはせいぜいこの10年なので、この5年がどの程度異常なのかを長期的・定量的に判断できるだけのデータがないのだが、5年中4年はさすがにひどいのではないか。
アメダスの降雪量データは過去数十年遡れるが、比較的平地に多いアメダスのデータとスキー場の滑走エリアとは思ったより相関が弱いと感じる。標高の高い山岳地では積もるほど降っても、その最寄りのアメダスでは積雪にならないことが多いが、これが以前からなのか、特に近年の傾向なのかは分からない。先日の八方上部やコルチナでの積雪も、白馬のアメダスでは降水量として記録されるだけで積雪は0だった。
そのアメダスのデータでは、東日本日本海側の12月の気温はここまで平年比+1.6℃で1946年の統計開始以降で3番目の高温、降雪量平年比5%は1961年の統計開始以降で4年前に次ぐ2位タイの少なさとなっている。
去年の12月は平年比46%、この5年で唯一雪が早く多かった一昨年でも平年比96%だから、去年は一昨年の半分で、今年は去年の1/10ということになるが、スキー場オープンの体感は一昨年から去年が1か月近い遅れで、去年から今年は1週間程度の遅れだから、降雪量とは大きく異なる。
上旬に降るか月末に降るかの差も大きいし、ある程度降って全面オープンしてしまえばそれ以上は降らなくても(新雪好き以外に)体感上の影響はないからだろう。
今後、温暖化が進むと、空気中の水蒸気量が増えて降水量が増えると言われている。気温上昇の影響で全体的な降雪量は減るし、降雪期間も短くなるが、上空の寒気は温暖化の影響を受けにくいため相対的な影響力が強まって、山岳部はむしろ大雪の頻度が増えるという予測がされている。
北海道内陸部のように十分に気温の低い地域では降雪量は減らないということで、富良野やトマムは安心かもしれないし、多雪地域の年間1000㎝や700㎝の降雪量が800㎝や500㎝になったところで、スキー場が営業できる・できないということへの影響は小さいだろう。だが降雪期間の短期化、特に降り始めが遅くなるのは、スキー場経営的にもスキーヤー的にも困る。
年間の降雪量は同じでも、12月上旬にドカッと降れば、1月・2月はさほど降らなくても滑走エリアが縮小することはまずない。3月以降の融雪は、気温の影響もあるが日照の影響も大きいので、温暖化でも雨にならず曇りが増えるのであればゲレンデは意外と長持ちするかもしれない。
年内は人工雪ゲレンデしか滑れないのが当たり前になるかもしれないし、特に西日本では降雪機のないスキー場は壊滅するかもしれない。長野・新潟でも標高の低いところは厳しくなるかもしれないし、極端な豪雪が増えることで「連日の適度な新雪」という状況は減るかもしれない。しかし、この5年の状況を遥かに超えるひどい状況が常態化するということには、向こう数十年の間にはならないようでもある。
喜ばしい状況ではないが、悲観しすぎることもないのかもしれない。