岡山県以西で最大標高差、岐阜県以西でもトップクラスの標高差を誇る、中国地方のスキー場の盟主ともいえる存在の瑞穂ハイランド。その運営会社が破産した。
大規模なら資金が潤沢(自己資本が厚い)とは限らないし、4年前(15/16シーズン)に1日券を大幅値下げした時点で苦しくなり始めていたのかもしれない。
値を下げてでも周囲から客を奪って売上を増やそうと目論んだのだろうが、そのシーズンから雪不足が連続したこともあって、値下げしたぶん売上が減っただけになって破産を早めたことになった可能性もある。
負債額30億円とのことだが、近年最多売上の13/14シーズンで売上9.5億というから、年間売上の3倍以上の負債というのはさすがに大きすぎないか。値下げした4年前どころか、もっと前から借入を重ねてないと、短期間でこれだけにはならないのではないか。瑞穂ハイランドのブランドを信じて金を貸し続けたということか。
法人が破産した場合、最大債権者、この場合はおそらく銀行の所有物となり、売却先を探したり競売にかけたりするのが一般的かと。例えばARAIの場合だと、妙高市が市税滞納で差し押さえてたのを、破産から9年経っての競売で入札があって売却されたが、総投資額800億円以上ともいわれる物件が18億円で売れた(最低入札額は8.84億円)。
瑞穂ハイランドも、銀行が持ってるわけにも行かないから売却先を探すだろうけど、タダ同然でなければ売れないだろう。だがタダ同然になるのなら、運営を引き継ぐところがでてくるかもしれない。
しかし、毎年の収支を黒字にする目途が立たないなら誰も手を上げず、このまま廃業となるし、そのケースの方が多い。
瑞穂ハイランドの近くにあるアサヒテングストンも、今季営業できないまま、2/17に事業停止して破産申請する見通しと報道されている。
ここは1995年にオープンするも、当初の所有者である第三セクターの破綻後は持ち主が転々として、2012年からはスマイルリゾート(湯沢にある会社で湯沢で4つ運営、18/19からは車山も運営)が運営していたが、そこも手を引くということで、2018年10月に、ここでスノーボードスクールを個人経営している社長が引き継いだという。だが去年は営業25日間、今年は営業できずで、何もできずにお手上げとなったとのこと。
そういう経緯から負債総額は2千万円と少ないが、人工降雪機を増やすとか、氷点下になる日が減っているなら増雪機を入れるとか、それなりの設備投資をしないと黒字化の目途は立たないだろうし、その価値を見出す事業者がいるかとなると難しそう。
しかし瑞穂ハイランドがなくなったら、中国・四国・九州のスキー・スノボ愛好家は困るだろう。アサヒテングストンだって標高差は岡山県以西で2番目だから、岡山県以西の標高差1位・2位を失うことになる。
中国地方では、15/16シーズンが最後となった上蒜山(岡山)から、ホワイトバレー松原(広島:16/17が最後)、スキーパーク寒曳(広島:17/18が最後)、奥大山(鳥取:18/19が最後)と閉鎖が続いている。
瑞穂ハイランドもアサヒテングストンもこのまま閉鎖となると、その客は恐羅漢や芸北国際に流れるのだろうが、近年は人口減のみならず雪不足(によるスキー場営業減少)による潜在客数の減少も見られるため、淘汰はまだまだ続きそうだ。