スキー客数、下げ止まらず?

 バブル期のブーム(90~95年度)が去って以降、客数(特殊索道(リフト)輸送人員数)は、暖冬雪不足の翌年のリバウンド(98年度、07年度)以外は前年比で減り続け、そのリバウンドも2年前を超えることはなく、11年度(11/12シーズン)は前年の震災の影響からリバウンドで増えたが、それも09年度を超えることはなかった。

 だが、震災以降「モノからコト」に消費が移ってレジャー産業が活性化し、12年度は通年での索道輸送人員数が2年連続で増加した(スキーシーズンである12月から3月に限ると0.9%の減少)。

 13年度、14年度も増加したことで、「ゲレンデ人気復活」などの記事が増えた。マックアースが急拡大したことも、それと絡めて取り上げられたし、JR東日本が本田翼を起用して「SKI SKI」のキャンペーンCMを復活させたのも2012年だった。

 しかし、震災のあった2010年度を底に増加したといっても4年で5%程度で、09年度の数字は上回れていないし、11年度から14年度の4年間は降雪・気温ともに恵まれ続けたシーズンでもあった。

 その反動というわけでもあるまいが、15年度は記録的な暖冬雪不足で前年比-18%の大幅減。16年度は15年度よりはマシだったが、書き入れ時の年末年始にほとんど滑るところがなかったスキー場の多さは大差なく、前年比+8%止まりで10年度にも届かず。これはそれまでの下げ止まり期待に冷や水を浴びせ、一気にしぼんだのではないか。

 それでもその2年はまだ「雪不足だから」という理由があった。だから雪さえ普通に降れば、客数は14年度の数字を上回るはずだと期待した。そして17年度は降雪、シーズンインが早かった。

 なのに、長野県が集計した県内スキー場の入込客数は前年比-0.7%、新潟県は-1.5%。14年度どころか、年末年始に雪がなかった前年度より少なかった。これはショック。

  17年度の特殊索道輸送人員は、2月までは前年比+5%だったが、3月が雪不足で-9%となり、トータルでは+2%止まり。前年の少なさとシーズンインの早さを考えると、2月までの+5%も期待からは圧倒的に物足りなく、3月までの合計2.43億人は震災シーズンの2.61億人を大きく下回って、15年度の2.23億人、16年度の2.38億人に次ぐ過去3番目の少なさだった。

 長野・新潟も客数は減少だった割に、リフト輸送人員は増えていた(長野;+8.7%、新潟;+4.2%)のは、1人当たりの乗車回数が大きく増えたのか、客数(あるいは輸送人員)のカウント精度が悪いのか。

 雪不足でもないのに、震災シーズンを底にした下げ止まり期から水準を一段切り下げたかのような輸送人員数の少なさは、2年続けての雪不足が戻りかけていたライト層を遠ざけたのか。あるいは雪不足がなくても下げ止まりは一時的なもので再び減少に転じていたのか。

 もう、15年度を割り込まないようにするのが精一杯で、震災シーズンを上回って09年度の2.8億人まで戻すなど無理な話なのだろうか。あるいは、今の水準が減りすぎであって、業界の努力や何かのきっかけで再び増加に転じるのか。

 2億人台前半というと1970年代後半の水準であり、いかにも寂しい(81年度には3億人を超え、83年度には4億人を超えていて、そこまではちょっと想定できないが)。

 スキーファンとしては、索道輸送が3億人レベルになることで、今くらいの値段のままで老朽施設が更新されるくらいの再投資が可能になって、今あるくらいのスキー場が残ってくれれば、それで十分なのだが。