2020/21シーズンのスキー場入込客数

 2020/21シーズンのスキー場の総入込客数は、1月・2月は雪不足の続く過去5シーズンとの比較でも半減以下のところも多く、首都圏以外の緊急事態宣言が解除された3月は若干回復したものの、トータルでは6割前後の数字になりそう。

 白馬村では、12月の57%(過去7年平均比)から、1月は46%に落ち込み、2月も51%どまり。3月は61%(昨年の値を除くと58%)、4月になると86%(昨年の値除く)に回復したものの、5月は天候不順もあって62%で、合計では54%(昨年の値を除くと53%)。

 白馬よりも首都圏からの比重が高い湯沢町では、12月・44%、1月・31%、2月・45%、3月・62%(昨年の値を除くと57%)で、3月末までの合計では48%(昨年の値を除くと46%)と、より大きく落ち込んでいる。

 白馬では、岩岳とさのさかは70%前後と比較的マシだが、外国人客比率の高い八方は46%と減少幅が大きい。

 湯沢では、ピーク時には300万人、近年でも70~80万人の入込客のあった苗場が、宿泊ファミリー客の比率が高いことからコロナの影響が大きく、昨年でも31.9万人と半減以下でかぐらを下回っていたのに、今年は感染者発生による休業もあって11.6万人と、例年比16%(84%減)という壊滅的状況。

 かぐらもガーラも半減以下のなか、岩原が63%、湯沢中里が75%、神立に至っては96%とほぼ平年並みとなっているのは、地元・日帰り客の支持が高いということか。4月末時点では、湯沢町内では神立が19.9万人でトップ、次いで18.1万人の岩原となっている。かぐらは16.4万人だが、2年前は5月に3.8万人来ており、逆転の可能性はまだある。

 日本スキー場開発㈱(NSD)のデータをみると、栂池の53%は八方・五竜よりは気持ちマシ程度、鹿島槍はどちらかというと岩岳・さのさかに近いかと思ったが57%と苦戦、竜王の50%はバスツアー客比率が高い影響か。

 菅平が41%と落ち込みが大きいのは、修学旅行などの団体客比率が高い影響のよう。一方で日帰り客の多いめいほう・川場は、それぞれ93%・99%とほぼ平年並み。降雪機導入(増設)のきっかけとなった雪不足の2015/16シーズンの客数を上回っている。

 前記に八方・岩岳を加えたNSD全体では、月別の傾向は白馬村と同じだが、めいほう・川場の影響で各月とも10ポイント前後落ち込みは小さく、シーズン全体では60%となっている。

 奥伊吹のように、2011/12シーズンに13万人で開業以来最高客数を記録して以降、設備投資を継続して行い、度々記録を更新し、今シーズンは2017/18シーズンの18.9万人を大きく超える22.1万人を記録したところもある。密回避のアウトドア人気もあって日帰り圏は好調だったよう。

 長野県主要スキー場利用動向調査の速報も出ており、これによると、長野県内の主要23スキー場(志賀高原で1つ、竜王・よませ・高井富士は北志賀高原として1つで集計)の3月末までの客数は、前年比で61%、過去5年平均比だと58%。

 前年比だと、昨年が雪不足の影響で壊滅的だった岩岳・黒姫などプラスになっているところもあるが、過去5年平均比でプラスのところは無し。

 一番影響の小さいのはおんたけ2240で、3.7万人で91%。5年前は5.6万人、6年前は噴火の影響で1.5万人だけど、7年前は4.9万人、8年前は6.9万人だったので、その頃比だと64%となる。雪不足の影響は小さいだろうに、ここ数年の苦戦ぶりが伺える。日帰り圏かというとそれも微妙なのだが、もうロイヤリティの高い固定客だけになっているのか、コロナの影響は軽微という結果。

 次に影響の小さいのは戸隠で、過去5年平均比84%。団体客のイメージもないし、地元客中心の日帰り圏ポジションなのだろうか。次いで湯ノ丸の81%で、これは日帰り圏ということだろう。

 最も落ち込みの大きいのはヘブンスそのはらで42%。日帰りゲレンデなのだが、名古屋周辺のファミリー客中心なので、外出そのものが控えられたか。次いでは斑尾47%、八方・黒姫48%など。NSDでは41%だった菅平は62%。昨年はNSDの方が多かったのに、今年はNSDの方がかなり少ないなど、集計方法が大きく異なるよう。

 長野・新潟の両県だけで全国のリフト輸送人員の4割を占め、長野主要23スキー場は長野県全体の75~80%、湯沢町新潟県の5割を占める。湯沢は全国のスキー場のなかで最もコロナの影響を受けたエリアかもしれないが、これらのデータと全国のデータの相関は高いだろう。

 長野・新潟以外では、近年は索道輸送人員数で新潟県を上回ることの多い北海道は、外国人観光客がいない影響がどれほど出ているかだが、長野・新潟ほどの落ち込みではないとみる。都道府県別で4・5番手の群馬県岐阜県は、日帰り客が多く、落ち込みは小さいだろう。

 これらから、冬期(12月~3月)の索道輸送人員数(2009~14年度:2.9~3億人、15~18年度:2.5~2.7億人、19年度:2億人)は、近年比6割程度の1.5~1.6億人と予想する。今後の長野県・新潟県の客数発表を踏まえて修正しつつ、年末公表の輸送統計にて検証したい。