サブスクという名のリフト1か月券

 今シーズン、鷲ヶ岳スキー場で、スマートフォンアプリを活用したサブスクリプションサービス『スベリホーダイ』というのが行われていた。

 2月・3月限定で、月額9800円で1ヶ月リフトが乗車し放題になるサービス、とのこと。使用期間は1日~末日まで(月の途中に購入した場合も月末まで)で、1日の0時を過ぎると自動更新、とあまり使い勝手がいいとはいえない感じ。「来月も続けますか?」と確認メッセージが送られてきてYes/No回答する、くらいはしてほしい。

 センターハウスのインフォメーションカウンターでアプリ画面を提示、ということから、都度引換型のシーズン券と同じ使い方で、こちらも便利とはいいがたい。

 使いまわし防止を考えると「1か月有効リフト券の発行」ではなく都度引換は仕方ないにしても、鷲ヶ岳ではウェブ購入したリフト券の自動発券機もあるのだから、有人カウンターではなくそちらを使えればと思うが、外部開発アプリとの連携ができなかったのだろうか。「アプリ画面を提示」だが、QRコード読み取りではないということか。

 このサービス、つまりは「リフト1日券」ならぬ「リフト1か月券」なのだが、これをサブスクと呼ぶのは正しいのか?はサブスクの定義が何なのかということになり、そもそもの英単語subscriptionには「定期購読」の意味はあっても「使い放題」の意味はない(その点では自動更新は正しいのかも)、とか、日本語の「サブスクリプション」は既に「使い放題」の意味で定着している、とか、でも飲食関係では回数の上限があってもサブスクと呼んでいるものがある、とか、ややこしかったりする。

 これがサブスクなら、シーズン券はもちろん、1日券だってサブスク?サブスクは「月額定額使い放題」のイメージが強いから「1か月リフト券」=サブスク?日本語の「サブスク」は、音楽聞き放題や動画見放題から広まったと思うが、それならWOWOWNHKもサブスク?

 どうも、ただ流行り言葉に乗っかっただけの感じがしてならないことにモヤモヤを感じるのだが、それとも今どきはもう「リフト1か月券」と言うより「1か月リフト乗り放題のサブスク」と言った方が分かり易いのだろうか。

 「スベリホーダイ」の話に戻る。

 鷲ヶ岳には販売月ごとに値段の異なるシーズン券があり、2月発売は32,000円、3月発売だと22,000円。「スベリホーダイ」との違いは、シーズン券には、駐車場無料、ナイター可、マックアースグループスキー場割引などがついてくること。

 この差額だと、2月だけとか3月だけなら「スベリホーダイ」がお得、2月・3月ともとなると採算ラインが13回は微妙だが、まあ「スベリホーダイ」か。

 実験的導入だったのだろうけど、結果はどうだったんだろう?どの程度売れて、どの程度使われるだろうと想定していたんだろう?その想定に対してどうだったんだろう?

 月1回か2回の人が、この値段ならって買って3回、4回来てくれて、リフト以外にお金を使ってくれる、というのが理想の展開だろうけど、そういうマーケティングデータを取るためには独自電子マネーをトクにして利用者数・利用頻度を上げなきゃだな。

 これを来シーズンもやるかは今回の結果次第でもあるだろうけど、やるなら月ごとに値段を変えてもいいかもね。2月は高く、3月は安く。あちこちでやってくれれば、1月は高鷲SP、2月はめいほう、とかできて楽しみ方が広がるのだが。