チャオ御岳復活プロジェクト

 チャオ御岳を復活(営業)させようというクラウドファンディング募集が立ち上がっている。それも2か所で。

 READYFORというサイトの方の発起人は「(有)サンジュリアン/チャオ御岳スノーリゾート復活プロジェクトチーム」で、「過去にチャオ御岳スノーリゾートの運営に関わっていた経緯からこのたび、チャオ御岳スノーリゾートの復活に挑戦してみようと、プロジェクトメンバーを立ち上げました。長年このスキー場業界に携わり、様々な経験をしてきましたメンバーと共にその蓄積されたノウハウを基軸に、皆さんが切に願うチャオ復活に向けて、挑戦したいと思います。」とのこと。

 CAMPFIREのサイトの方の発起人は「Tomohiro Iwata」となって「プロジェクトにかかわるメンバーは、いずれもスキー場経営に長年かかわってきたメンバーにより構成され、経験値は豊富です。また、ウィンタースポーツに限らず、グリーンシーズンにおけるアウトドアをこよなく愛する者たちがさまざまな経験を重ねています。」とのこと。標題が「チャオ御岳スノーリゾート復活プジェクト」と誤字のままなのが残念。

 プロジェクト紹介の文章が全く同じではないがほぼ同じ内容、どちらも出資5000円でシーズン券がもらえるというリターン(READYFORではグリーンシーズンにオートキャンプサイトを使い放題も選べる)から、同一人物によるものなのは間違いないだろうが、なぜ2か所でなのかはナゾ。目標金額がREADYFORでは1500万円、CAMPFIREでは2000万円と異なるのもナゾ。

 最初にこの話を聞いて、検索でREADYFORのサイトを見たときには、目標金額1500万円に達しなければなかったことになるので気軽に出資できるし、参加しようかとも思ったが、どうも直観的にアヤしいとも感じた。

 まずリターンに対して出資額が安すぎる。シーズン券3000人でも、それで来てくれて飲食や宿泊でお金を使ってくれるならということなのかもしれないが、それにしても安すぎる。

 「資金は施設を再稼働するための索道や電気系統、その他設備再点検、それらを担当する人材へ充当」とあるが、1500万で足りるものなのだろうか。いくらか元手があって「あと1500万足りない」ならわかるが、そんなわけでもなかろう。

 「冬場のスキー場としての営業は勿論のこと、グリーンシーズンにおきましてもその立地条件を最大限に引き出した構想を皆様に提供していくことで」とあるが、その構想の中身についての記述は無し。

 「復活の際には、2020-2021シーズンに6万人の来場が見込まれる」としているのは、マックアースが手掛けた最初の年(2013/14シーズン)が約10万人、マックアースがフル営業した最後の年(2016/17シーズン)が8.9万人だから、妥当な見込みか。

 しかし、おんたけ2240も開田マイアもきそふくしまも3~5万人なので、シーズンが長いとはいえチャオがその倍というのは意外。2240・マイア・きそふくも自治体からの補填なくして成り立ってないけど、チャオが9~10万人でも成り立たないとしたら、それだけ補填が大きいということか、チャオが高コスト体質だったのか。高コスト体質であってその低コスト化の手立てがなければ、6万人見込みでは成り立たないと思うがどうだろう。

 などと考えたところで改めて検索したところ、5ch掲示板の「御岳・木曽エリア 総合スレ」がヒットして、CAMPFIREでもでていることを知った。ますます怪しい。

 READYFORでは200人以上・140万円近い額が集まっているが、それでもまだ1割にも満たない。CAMPFIREの方はまだ0円。READYFORでは支援者と同じ数のコメントがついているが、発起人からの反応はすべて同じ内容のコピペ。

 READYFORでは6/11に立ち上がったようだが、6/12には5chに書かれている。

「5000円は安すぎる」
「1500万で動かせるわけない」
「未払い金とかあったんじゃないの?」(3000万円の未払いがあると報道されていた)
「5000円なら前売り2枚程度が普通でしょ」
「せめてYouTubeチャンネルを作って熱意を語ってくれ。代表者の名前も明かさないまま出資しろって、、、」
「シーズン券5000円だけってもうちょっとやりようがあったと思う」
「金額とリターンが見合って無い。一度撤回してプランを練り直して欲しい」
「まず経営権をクリアする事から始めないと金額云々の話ですら無いと思うのだが。」
「現在の運営者や自治体との関係やスタート後の経営プランが見えてこないので怪しすぎる」

あたりは同意。

「2シーズン止めたってことは水回りの配管全部やりなおさなきゃいけない。って事はセンターハウスも建て替えしなきゃだめです。1500万そこらで営業なんてできない。10億単位の金が必要。」はさすがにないと思う。

 この内容で目標金額が集まるとは思えないが、集まったはいいがオープンできす(せず)の場合はどうなるんだろうか。ファンドであり投資なのだから、持ち逃げされても詐欺でも自己責任であり、出資金を取り返したければ運営者相手に訴訟でも何でもというのが社会のルールだろうが、発起人の特定や事業執行の監督について、17%もの手数料を取るらしいクラファンサイトはどの程度担保してくれるのだろうか。

 クラファンの話を聞いたときは心躍ったが、素性の分からぬ人物による雲をつかむような内容にガッカリ。今後、計画の詳細が出てくればいいのだが、詐取する悪意はないにしても、実現性のほとんどない、ただの思い付きである可能性が高い気がする。