チャオ御岳、その後

 相変わらず何の進展もなさそうなチャオ御岳について、1年以上ぶりに高山市議会の会議録検索をかけてみた。

 9月の定例会の議事録はまだアップされていないようだが、それまでのアップされているなかで「チャオ」がヒットした最新は、1/22の産業建設委員会。

 ここでは第三セクターの状況が議題となっており、そうなると議論の大半はもちろん、チャオ御岳の運営会社である飛騨森林都市企画㈱(以下「飛騨森林」)の話になる。

 そもそも、昨年6月にチャオ復活のクラウドファンディングをきっかけに調べた時点では、2020/6/9の定例会議事録で「開催されないままとなっている定時株主総会の早期開催を継続して要求している」「筆頭株主である優福屋に面会を再三にわたり要望しているが会ってもらえない」「高山市が主導して株主総会を招集することを裁判所に申し立てている」ということだった。

 その後、裁判所の招集許可を得て6/25に臨時株主総会が開催され、未払金の解消や経営再開への考え方について説明を求めたが、善処するとの回答はあったものの具体的な対応についての説明はなかったとのこと。

 さらに、12/28に定時株主総会が開かれた際も、同じことを厳しく問いただして全ての議案に対し不賛成の立場を示したが、優福屋(過半数株主)の単独で可決されたとのこと。

 ただその席で、飛騨森林の経営者は、スキー場は運営をしていきたいと表明したという。

 というのも、マックアースから引き継いだ、濁河温泉にある「旅館 御岳」について、今は休館しているが、こちらについては別の業者からオファーがあり、しかしそれはチャオ御岳が営業されていることが条件だから、と、「旅館を手放すにはチャオが必要だから」というのが理由のよう。何というか、本気はまったく感じられない。

 チャオ御岳の土地は国有林野であり国から借り受けており、施設は優福屋の100%出資子会社である㈱御岳の所有となっている。土地の使用許可継続の条件として、施設の所有権を㈱御岳から飛騨森林に移すよう(土地を借りる者がその施設を所有するよう)求められているということだが、飛騨森林に具体的な動きはないとのこと。

 このまま国有林の使用許可取り消しや非更新となった場合、経営再開は極めて困難で、敷地の原状回復が必要となってくるが、その場合、施設撤去に3億円、植栽が必要かは分からないが実施するなら7億円必要、との試算が示されていた。

 飛騨森林の社長からは「スポンサーを探しているし、業者への未払いについても年度末(2021年3月末)をめどに一定の決着を得たい」という話があったようだが、一定の決着が着いたのかどうかはここでは分からない。

 高山市は「飛騨森林に厳しく求めている」と言い、飛騨森林も一時期のように株主総会さえ開かずに逃げ回るということではないようだが、口ばっかりで進展はない様子。

 市議会は高山市に対して、これまで株主としての責任を果たしてきたかを問いただしているが、行政が非を認めるはずもなく、のらりくらりとした答弁が返ってくる、という感じ。

 行政の関与が弱かったのは確かだろうし、今後の再発防止は必要だろうが、議会としては市に「ちゃんとやれ!」と文句を言うことしかできず、市は少数株主として会社に「何とかしろ!」と言うことしかできず、会社は資金がなくて何ともできない、という状況が続いており、スポンサーが現れるか、国有林使用許可に関連して最後通告が出されない限り進展はなさそう。

 土地使用については、使用料滞納で昨年7月に聴聞会が開かれ、優福屋を引受先として600万円の増資を行うことで納付したということで、その聴聞会で施設を飛騨森林に移す条件を出されているが、そちらは行われていない状況。

 なぜ施設の所有と運営を分けたのか、土地使用許可条件とされたのになぜ一体にしないのかも分からないし、いつまで使用料を払い続けられるのかも不透明。

 こうした状況から、議員側からは飛騨森林の清算を念頭に置いた「優福屋もそれを待っているのかもしれない」という発言があった。未払いとなっているなかの最大の債権者がすでに債権放棄の内容証明を優福屋に送っているという話もあった。高山市としては、一帯の高地トレーニング場としての活用はしたがっているが、スキー場は廃業もやむなしに傾きつつある様子が伺える。

 優福屋としては、どうせタダ同然で手に入れているのだろうし、であれば清算してもさして懐は痛まないだろうに、なぜ清算してしまわないのか。持っていても土地代がかかるばかりで、増資した600万円だって無駄になるだけではないのか。それとも本当にスポンサーのあてがあるのか。何を考えているのか分からないのが気持ち悪い。