スキー場関連のクラウドファンディング _1(いいづなリゾートスキー場)

 スキー場関連のクラウドファンディングを検索したところ、チャオ復活プロジェクト以外に3つあった。

 最初はいいづなリゾートスキー場のゲレ食復活プロジェクト。これはクラウドファンディングが今ほどメジャーではなかった時期で、ニュースになっていたのを覚えている。2016年8月の募集開始で、目標の200万円に対して298.6万円集まっている。

 チャオ復活プロジェクトは、目標金額に達しなければ成立しない(集金されない)タイプだが、いいづなリゾートのは目標未達でも集金されるタイプ。だから目標金額はただの目安に過ぎないのだが、めでたく目標達成。

 目的は、ゲレンデ中腹にある「トップハット」という元ゲレ食(築25年)を改修し、ピザ窯を設置して復活させること。また、グリーンシーズンの移動手段として、駐車場とトップハットの間の道路の整備もしたいという。それが200万円でできるとは思えないから、不足費用の募集ということか。

 しかし支援者数は45人と少ない。それで約300万円集まったのは、企業向けの20万円コース(シーズン券3枚+クワッドリフト搬器5基分背面に記念プレート3シーズン)と50万円コース(シーズン券7枚+広告スペース1.2*1.8mを3シーズン)に各3人(社)応募があり、これだけで210万円(目標額達成)だから。

 個人は39人で90万となり、それでも平均で約2.2万円の出資と金額が大きいのは、個人向けでは2番目に高い4万円コース(シーズン券(通常5万円・早割2.8万円)+復活予定レストランにネームプレート掲示)に8人、最高額の10万円コース(4万円コース+復活予定レストランでシーズン中ピザ食べ放題(1日2枚まで))に3人いるから。

 他のリターンは、

・3000円でリフト半日券・1ドリンク券(支援者6人)

・5000円でリフト1日券・食事1000円券・1日ソフトドリンク飲み放題券(9人)

・8000円でレストランに記念ネームプレート掲示(0人)

・9000円で5000円コース+1日フルセットレンタル(0人)

・1万円で復活予定レストランに記念ネームプレート掲示(3人)

・1.2万円で5000円コース+8000円コース(4人)

・1.5万円で8000円コース+9000円コース(3人)

・2万円で1万円コース+ナイターシーズン券(通常2.5万円)(3人)

 「寄付型」と、出資額以上の対価が得られる「購入型」がバランスよく取り揃えられている感じで、個人出資も2割分ほどは寄付型。個人最高額のピザ食べ放題も、食べ放題に+6万円は寄付みたいなものか。50日間通って毎日2枚食べてようやく1枚600円だから。

 ところが、このゲレ食がその後どうなったのかが、検索では何もでてこない。分かるのは、今シーズンは営業されていないということ。昨シーズンも営業していなかった。

 いいづなリゾートスキー場は、1990年から運営していた第3セクターが2009年に清算され、飯綱東高原観光開発合同会社に運営が移っているが、ここは確か地元有志の集まりのような会社で、ここがクラウドファンディングを募集している。

 ところが、クラウドファンディングの翌2017年6月、所有者である飯綱町が財政難により2019年3月末までに売却をすること発表し、2018年6月に売却先の公募を開始、投資会社にゴルフ場とあわせて1.47億円で売却され、18/19シーズンからその投資会社による運営となっている。

 結局、「トップハット」は改修されたのか。せっかく改修したのなら、運営会社が変わったからといって使わないのももったいないが、そもそももう何年も使われてなかったのは、営業しても黒字にならないからだろう。

 通年営業を目指してリフォームしたが、黒字化できずにムダな投資に終わってしまったのか、そもそも資金が足りずに改修できず、クラウドファンディングで集まった300万円はスキー場の赤字補填に使われて終わったのか。

 購入型のリターンはトップハット改修に関わらない内容がほとんどだから、支援者に実害はないのかもしれない。ピザ食べ放題も、ベース部のレストランの名物メニューだったというから、そこでの提供にすれば問題なかっただろう(そのベース部の窯焼きピザも、運営が変わった18/19シーズンは使われていなかったが)。

 寄付型の人の想いを裏切った形になったのは残念だが、寄付型の人たちはおそらく、トップハットへの寄付ではなく、懸命に努力する地元有志と地元スキー場への寄付だっただろう。

 見通しが甘かったといえばそれまでだが、目標金額は集まったが、当初目論見のような復活には至らなかったという、残念な事例となってしまっているようだ。