予想(期待)の検証

 3週間前や6週間前に書いたコロナ関連の予想(期待)を振り返ってみると、新規陽性者数のピーク時期は思ったより早くなり、ピーク高さの見込みはまるで甘かった。

 7/18に「重症者数は前回を超えない」と予想したが、現時点で1.5倍を超えている。新規陽性者が1.5万人台だった8/8に「そろそろピークアウトしてもおかしくない」と考えたが、実際のピークはその2週間後の2.5万人台。

 7月中旬といえば、イギリスでは再拡大が始まっていたが、アメリカでは再拡大の立ち上がりの時期で、デルタ株の猛威についてまだはっきりと見えてなかった時期。7/12に東京都で緊急事態宣言が発出されたが、その直前の新規陽性者数は全国で2000人台、重症者数はまだ減っていた(7/16の376人がボトム)。

 新規陽性者数は第3波のピーク(1/8の7957人、7日間平均は1/11の6495人)を超えても、高齢者へのワクチン接種の進展で重症者数(過去最高は5/26の1413人)はグッと減ると予想し、実際に重症化率はグッと下がったのだが、新規陽性者数が3.5倍を超えるところまで増えてしまっては、この程度のワクチン接種率ではまだそこまで重症化率は下がらなかった。

 変異前は実行再生産数が2程度で、だから5~6割のワクチン接種で収束させられるとの見込みだったと思う。7月中旬時点では、デルタ株の登場でどうやら5~6割ではダメになったとしても、感染力2倍でも接種率75%で収束に転換する計算をしていたのだが、それも怪しくなってきた。

 だがその時点では、欧米が接種率4~5割で感染者数減少→行動制限緩和→接種ペース鈍化という状況だったので、接種対象外である子供も含めた全人口比で7割の接種率は強権国家でないと困難かと思っていたが、皮肉にもデルタ型の猛威によって世界的に接種率が上昇している。

 8月上旬時点では確かまだ各国の接種率を調べておらず、デルタ株以前の「5~6割くらいで頭打ち」というイメージから、「人口の7割=接種対象者の8割弱の接種は、難しいが無理ではなさそう」と考えていた。

 が、現在、スペインでは1回接種率78%、完了率70%になっており、カナダ、フランス、イギリス、イタリアも1回接種率7割超えと、ワクチンパスなどの「アメとムチ」の効果もあるのかもしれないが、7割はすでに「実現すべき数字」であり、7割を超えてどこまで伸ばせるかになってきている。

 8割までいけば、デルタ株の実行再生産数が5に近くても収束する計算だが、それには接種対象者の9割近い接種が必要。日本では65歳以上でも9割を超えるか微妙な状況のことから、加えて12~64歳でも9割というのは無理っぽく、75%(12~64歳の接種率8割)~80%の間が現実的な目標となりそう。

 7月中旬、”「9月頭には感染者減少が明確、9月中旬に衆院解散、宣言解除し、新規感染者がしばらく底這いのうちの10/5公示・10/17投開票で衆院選」というのが、菅首相にとってのベストシナリオだろうか”とした。8月上旬には”9月末に接種完了率6割、1回接種率7割なら、10月の衆院選挙時には感染状況はすっかり落ち着いているのではないか”とした。

 「9月頭に感染者減少が明確」と選挙日程はそのとおりになりそうだしワクチン接種も順調だが、感染者増えすぎで医療逼迫解消の先行きが見えず、10月の選挙期間を落ち着いた状況で迎えられそうにはなくなっている。

 先週あたりは「こうなったら任期満了直前の解散で、前例のない任期満了後選挙にするのではないか」とも思ったが、ここにきて自民党内からも任期満了前選挙の声が強くなっているという報道があった。

 そうなると自民党には強い逆風下での選挙になるだろう。

 緊急事態宣言の9/12以降への延長は当然として、3週間延長して10/3までとしたところで、東京・大阪・沖縄などの新規陽性者数指標はステージ4のままだろう。今の1/4くらいに減っているとは思うが、今がステージ4基準の8~12倍なので、それでもまだ2~3倍だ。

 これまでのようにステージ3基準も大きく下回らないと解除しないとなると、順調に減り続けても11月になるかもしれないと思う一方で、ワクチン接種が進んで9月末には完了率6割超え、10月末に75%ともなれば、それに伴ってこれまでにないスピードで新規陽性者も療養者も減っていくのかもしれないとも思う。

 ぜひ、後者に期待。