急減の理由・次への備え

 この前にコロナ関連について書いたのは8/30で、新規陽性者数の7日間平均が8/25でピークアウトして間もない時期だった。

 その後、9月に入ってからは、新規陽性者数や入院・療養者数がかつてない勢いで急減している。

 第4波のときは、新規陽性者数の7日間平均がピークから半分になるまでの期間(第1半減期)が19日間、そこからさらに半分(ピークから1/4)になる期間(第2半減期)が15日間、1週間での減少率のピークは31%(前週同曜日比69%)だった。

 第3波のときはそれぞれ、22日間、11日間、36%だった。

 今回はこれまでのところ、16日間、8日間、52%となっており、第3半減期は7日間だった。

 8/30時点では「10/3時点でも、東京・大阪・沖縄などの新規陽性者数は、1/4くらいに減っているとは思うが、ステージ4のままだろう」と書いた。この頃、特に東京では明らかにピークアウトしていたとはいえ、10万人あたり新規陽性者数は、沖縄県で300前後、東京・大阪で200前後と、ステージ4基準の25の8~12倍もあったから。

 それが9/24時点でもう、沖縄62,大阪40、東京28まで下がっている。東京はステージ4脱出目前、大阪も9月中には脱出しそうで、沖縄も10/3時点で脱出しているかもしれない。

 緊急事態宣言の解除基準に新規陽性者数は入っていないが、重視するとしている病床使用率も順調に下がって基準値の50%を全都道府県で下回ったということなので、1か月前はもちろん、延長が決まった時点でもまさかと思っていた9/30での全解除はほぼ確実か。

 これほどの急減の理由は、いくつか候補は挙げられているが、専門家の間でも「よく分からない」ということのよう。

 増加期には、都市部においては夜間の滞留人口との相関が高いという話があったが、今回の減少期においてどうなっているかは聞かれない。誰も言わないということは相関が見られないということだろうか。

 おそらく、マスクにしろ会話にしろ換気にしろ、ちょっとした意識と行動の変化で感染度合いが変わり、そのちょっとした変化が1週間、2週間と続くことで感染者数が大きく変化するのだろう。

 五輪が終わってコロナのニュースが目立つようになったのも、あまりの感染者増加で身近に感じる人が増えたことも、盆前後の長雨で外出者が減ったことも、ワクチン接種が進んだことも、気温が下がって換気されやすくなったことも、すべて感染者減少の理由だろう。

 その中でも、身近に感じることでより気を付けるようになった、という定量化しにくい行動変容が最も大きいのかもしれない。

 緊急事態宣言解除となると、次の関心はこれがどこまで減るかに移る。

 新規陽性者数の7日間平均でいうと、第3波の後のボトムは978人で、第4波の後のボトムは1427人と1.5倍になった。現在は2700人ほどだが、1週間で半減するペースが続いている。このペースが続けば来週末には第4波後のボトムを下回ることになる。

 さすがにもう減少ペースも鈍る頃合いなのか、それともワクチン接種効果でまだ下がるのか。

 おそらく、11月になれば新規陽性者数は増え始め、年始にかけて第6波がくるのは避けられないに違いない。

 春の雪解けや花見(もうすぐ春休み)、梅雨明け(もうすぐ夏休み)、紅葉からクリスマス・年末商戦(もうすぐ冬休み)の時期は、心が高揚し外に出て人と会いたくなる季節であり、これは自粛要請では止められない、というのがこの1年半の経験から得るべき教訓だろう。

 日本も欧米のように、ある程度の感染者数を容認して経済活動を再開させる「ウィズコロナ」が現実的であり、第6波がくるのは仕方がない。問題は波の高さであり、その波を受け止める防波堤の高さ(医療提供状況)だ。

 経済活動の再開度合いは医療提供状況次第であり、収まっている間にどれだけ増やせるか次第だが、これが相変わらず心許ない。

 ワクチンの接種率をどこまで伸ばせるのかも気になるが、これは8/30に書いた「75%~80%の間が現実的な目標となりそう」から変わっていない。

 ここまで順調で、9月末時点で1回接種率70%は確実な状況。運用延長が決まり再開した大規模接種会場の予約は埋まっていないようだが、ようやく自分のタイミングで受けられるようになってきたということであり、ここからの追い込みが勝負であって行政の腕の見せ所とも言えようが、だからこそ心配だったりもする。

 接種に積極的な層はほぼ1回目の接種を終えつつある。1割前後いるらしい否定的な層は、かなり強力な接種メリット(非接種デメリット)を設けないと(あるいはそうしても)接種しないだろう。残る「何となく不安で消極的な層」にいかに接種してもらうかで、70%そこそこで急ブレーキがかかるのか、75%を超えて80%に近づけられるかが決まってくる。

 接種率が80%を超えたシンガポールイスラエルでも感染者は多く出ているが、重症者は少なく抑えられているという。国民の衛生意識が強く、国の施策が貧弱な割には感染者数が著しく少ない日本なら、経済活動を再開してもマスクなどの基本対策には気を付けるだろう。そんな日本が接種率80%なら、どの程度の感染状況になるのか。

 「第6波はくるがピークは第5波に及ばず、緊急事態宣言はされず」という状況を期待しているし、そのために行政には、軽症・中等症者用施設のさらなる、できる限りの、今の2倍,3倍というレベルでの拡充を目指してほしい。