データいろいろ

 人気スキーブログ「スキー凸凹研究所」に、「スキー場 カテゴリー別 ランキング まとめ」という記事がある。

 これに「スキー場数が多い市町村」というカテゴリがあり、11か所の新潟県湯沢町に次いで、10か所で新潟県南魚沼市岐阜県郡上市が並んでいた。

 湯沢町南魚沼市はともかく、郡上市は「なるほどそうか」という感じ。多いことは知っていたが、全国2位タイとは思わなかった。

 ということは、09/10シーズンに「加山キャプテンコースト」が閉鎖してから、「しらお」が閉鎖する17/18シーズンまでは、郡上市湯沢町と並んでトップだったのか、と思ったが、17/18シーズンまでは「ルーデンス湯沢」が営業していたので、やはり湯沢町が単独首位。

 「凸凹研究所」でも書かれているが、湯沢町のすごいところは町村合併無しでこの数というところ。郡上市南魚沼市も町村合併によってこの数になっているし、8か所で4位の妙高市みなかみ町もしかり。湯沢町には廃止されたスキー場が8つあるということで、「平成の大合併」前はおそらくダントツだったのではないか。郡上市が2位タイとというのにピンとこなかったのも、高鷲村や白鳥町や明宝村のイメージが残っているからだろう。

 他に多そうなのは、白馬村は現在5つで、なくなったのは「ハイランド」「みねかた」の2つくらい。実は大町市も、今は「鹿島槍」「爺が岳」の2つになってるけど、「ヤナバ」「青木湖」「大町」「ヤナバパラレル」と4つなくなっていて、最盛期は6つあった。小谷村・白馬村大町市と合併して「白馬市」にでもなってたら、それでも現在10で2位タイか。札幌市も現在の6つになくなったのが4つで最盛期で10となると、湯沢町の首位は揺るがなさそう。

 「地理部門(日本)」というカテゴリで「最北端のスキー場」として「久種湖畔スキー場」(礼文島)、「最東端」として「ウトロ」、「最高地点」として「千畳敷」が挙げられているが、これらはロープトゥのみのスキー場。索道のあるスキー場としては、最高地点は「渋峠」、最北端は「こまどり」(稚内市)、最東端は「標津町営金山」。

 「多くのスキー場で利用できる共通シーズン券」が「抽選を含む」なのはいかがなものかと。「長野県共通リフトシーズン券」(大人3万円)はおよそ60か所以上で使えるが、買えるのは抽選200人。競争率は何倍なんだろう?これは別枠でいいのでは?

 2位の「スノーリゾートクラブ 共通シーズン券」は、数は多いが使えるスキー場が全体的にやや小粒な印象。長野県14、新潟県4(湯沢パークが抜けている)、福島県5なので、5.8万円の価値を出せるのはやはり長野県民か。

 3位の「マックアース30」改め「マックアースジャパン」は、マックアース直営は25から一気に9つ減って16になったが、うち5つは提携という形で継続、他に提携先の新規1・解消2で提携先が4つ増えて、共通シーズン券の利用先は5減の26で踏みとどまっている状況(30を大きく割り込んだことで改名)。だがいずれにしろ、利用者の多くは奥美濃の高鷲SP・ダイナ・鷲ヶ岳・ホワイトピア狙いなのは変わらずかと。

 「抽選は含むが誰でも買える」を条件にして住民限定のものは除外しているが、含めたところで「使えるスキー場数」の上位は大きくは変わらないだろう。ただ、湯沢町民限定のシーズン券については、11か所というのもおそらくはマックアースジャパンに次ぐ数だろうし、苗場・かぐら・ガーラとその顔ぶれが豪華で、小中学生1万円(3人目からは5千円)、その両親2.5万円(2人目は1.5万円)、高校生1.5万円、55歳以上2.5万円、一般町民4.5万円(一般町民のみ住民登録から1年以上経過必要)と安く、コスパは最強。欠点は、使えるのが4/7までというところか。

 住民限定のシーズン券というものが湯沢町以外にどれだけあるのかは知らない。「凸凹研究所」でも調べていないのは、大勢の人に刺さらない情報だからなのか、調べるのが大変そうだからなのか。ただの興味本位ではあるが、誰か網羅的に調べてまとめてる人いないかな。

メグラーさんは絶滅危惧?

 世の中に、職業としてではなく趣味として、スキーに対して異常な情熱を注いでいる人が少なからず存在することは、SNSの普及によって広く明らかになっている。私はスキーブログの、それもごく一部を知るに過ぎないが、圧倒されるばかりだ。

全体を網羅すればおそらく、技術系(いわゆる基礎スキー)のものが多いのだろうけど、私は、ただひたすら楽しんで滑りまくっているレジャースキーヤーや、データ収集に熱心なものが好みである。

 スキー場巡りを趣味とするいわゆる「メグラー」さんも好きなのだが、もともと希少なうえにいまや絶滅の危機に瀕しているように思う。

 日本全国、スキー場を求めて行脚して、リフト1本、ロープトゥ1本、そのロープトゥが昼休憩で止まっていれば板担いで1本滑って次に向かい、1日に4つ、5つのスキー場を滑るのは当たり前。ゲレンデガイドには載っていない、裏山にロープトゥを置いて地元の人が地元の子供相手にやっているようなところでも、調べて、探して、禁止されてなければ滑るという、もはや執着としか呼べないほどの異常な情熱と行動力!(褒めてます)

 自分にそんな情熱はないが、「いろんなスキー場で滑ってみたい」とは思っていて、これまでに滑ったスキー場は77~95。これは、志賀高原を1つでカウントすれば77で、行政の登録上は現在も19のスキー場の集合体となっているようなので19個でカウントすれば95になるということ。

 志賀高原の19というのがどういう分かれ方をしているのか、正確なところは知らないが、1.サンバレー/2.丸池/3.蓮池/4.ジャイアント/5.西館山/6.発哺/7.ブナ平/8.東館山/9.高天原/10.タンネの森/11.一ノ瀬ファミリー/12.寺子屋/13.一ノ瀬ダイヤモンド/14.焼額/15.奥志賀/16.熊の湯/17.横手山/18.渋峠とすると、19.木戸池(16/17シーズンを最後に休止)だろうか。

 だとすると営業中なのは18、木戸池は滑ったことがないので自分のカウントも18で、総数94となる(ちなみに、ニセコはヒラフと花園はあわせて1つで、ヴィレッジとアンヌプリとで3つでカウント)。このように、数を数えだすと定義(カウントのルール)が必要になる。

 メグラーさんの場合だと、まず「何をもってスキー場とするか」の定義が必要となり、第一段階としては「索道(ロープウェイ・ゴンドラ・チェアリフト)が設置され、稼働し、一般に開放されている」といったあたりになる。

 一般的には、ゲレンデガイドなどでも、ロープトゥだけでもスキー場として案内されることが多いが、索道が設置されているかどうかという行政管理上(届出要否?)の違いは無視できないだろう。

 実際、「索道あり」は現在おそらく440弱(志賀高原を1つとすれば420程度;コロナ休止を除く;復活の可能性のあるところがいくつかあり)だが、ロープトゥだけでの営業も、数年前に調べた時点では北海道・東北を中心に127、「索道あり」の3割近くと結構な数がある。

 こういった「数を追う」楽しみは、新規開業が相次いでいる時こそ楽しいのであって、2000年~2010年にかけての大量廃業期に「今滑らないとなくなってしまう!」と追い立てられるように巡るというのは本意でなかっただろうが、だからこその盛り上がりというのもあったのかもしれない。

 ロープトゥのみも含めると700以上を滑った人がいるのに、今から始めても550程度にしかならない。それでも挑戦している人はいるのだろうか。

 これから大量廃業の第2波がくるかもしれないが、「なくなる前に」とコンプリートを目指して行脚する人は果たして現れるだろうか。

 ちなみに個人的には、「標高差500m以上」などの条件付きでのコンプリートには興味があるが、該当は100以上あって(志賀高原=1;ジャスト500mが11もあって公称値の信ぴょう性に疑問がありそう)、半分ほどしか行けてない。近隣で残っているのは少ないが、北海道・東北はもちろん、広島の恐羅漢(公称ジャスト500m)も残っている。

 1日1つか2つずつ滑っては移動するスキー旅は好きではあるが、条件付きであっても100を超える条件でのコンプリートは、やはり難しそうだ。

2020/21シーズンのスキー場入込客数

 2020/21シーズンのスキー場の総入込客数は、1月・2月は雪不足の続く過去5シーズンとの比較でも半減以下のところも多く、首都圏以外の緊急事態宣言が解除された3月は若干回復したものの、トータルでは6割前後の数字になりそう。

 白馬村では、12月の57%(過去7年平均比)から、1月は46%に落ち込み、2月も51%どまり。3月は61%(昨年の値を除くと58%)、4月になると86%(昨年の値除く)に回復したものの、5月は天候不順もあって62%で、合計では54%(昨年の値を除くと53%)。

 白馬よりも首都圏からの比重が高い湯沢町では、12月・44%、1月・31%、2月・45%、3月・62%(昨年の値を除くと57%)で、3月末までの合計では48%(昨年の値を除くと46%)と、より大きく落ち込んでいる。

 白馬では、岩岳とさのさかは70%前後と比較的マシだが、外国人客比率の高い八方は46%と減少幅が大きい。

 湯沢では、ピーク時には300万人、近年でも70~80万人の入込客のあった苗場が、宿泊ファミリー客の比率が高いことからコロナの影響が大きく、昨年でも31.9万人と半減以下でかぐらを下回っていたのに、今年は感染者発生による休業もあって11.6万人と、例年比16%(84%減)という壊滅的状況。

 かぐらもガーラも半減以下のなか、岩原が63%、湯沢中里が75%、神立に至っては96%とほぼ平年並みとなっているのは、地元・日帰り客の支持が高いということか。4月末時点では、湯沢町内では神立が19.9万人でトップ、次いで18.1万人の岩原となっている。かぐらは16.4万人だが、2年前は5月に3.8万人来ており、逆転の可能性はまだある。

 日本スキー場開発㈱(NSD)のデータをみると、栂池の53%は八方・五竜よりは気持ちマシ程度、鹿島槍はどちらかというと岩岳・さのさかに近いかと思ったが57%と苦戦、竜王の50%はバスツアー客比率が高い影響か。

 菅平が41%と落ち込みが大きいのは、修学旅行などの団体客比率が高い影響のよう。一方で日帰り客の多いめいほう・川場は、それぞれ93%・99%とほぼ平年並み。降雪機導入(増設)のきっかけとなった雪不足の2015/16シーズンの客数を上回っている。

 前記に八方・岩岳を加えたNSD全体では、月別の傾向は白馬村と同じだが、めいほう・川場の影響で各月とも10ポイント前後落ち込みは小さく、シーズン全体では60%となっている。

 奥伊吹のように、2011/12シーズンに13万人で開業以来最高客数を記録して以降、設備投資を継続して行い、度々記録を更新し、今シーズンは2017/18シーズンの18.9万人を大きく超える22.1万人を記録したところもある。密回避のアウトドア人気もあって日帰り圏は好調だったよう。

 長野県主要スキー場利用動向調査の速報も出ており、これによると、長野県内の主要23スキー場(志賀高原で1つ、竜王・よませ・高井富士は北志賀高原として1つで集計)の3月末までの客数は、前年比で61%、過去5年平均比だと58%。

 前年比だと、昨年が雪不足の影響で壊滅的だった岩岳・黒姫などプラスになっているところもあるが、過去5年平均比でプラスのところは無し。

 一番影響の小さいのはおんたけ2240で、3.7万人で91%。5年前は5.6万人、6年前は噴火の影響で1.5万人だけど、7年前は4.9万人、8年前は6.9万人だったので、その頃比だと64%となる。雪不足の影響は小さいだろうに、ここ数年の苦戦ぶりが伺える。日帰り圏かというとそれも微妙なのだが、もうロイヤリティの高い固定客だけになっているのか、コロナの影響は軽微という結果。

 次に影響の小さいのは戸隠で、過去5年平均比84%。団体客のイメージもないし、地元客中心の日帰り圏ポジションなのだろうか。次いで湯ノ丸の81%で、これは日帰り圏ということだろう。

 最も落ち込みの大きいのはヘブンスそのはらで42%。日帰りゲレンデなのだが、名古屋周辺のファミリー客中心なので、外出そのものが控えられたか。次いでは斑尾47%、八方・黒姫48%など。NSDでは41%だった菅平は62%。昨年はNSDの方が多かったのに、今年はNSDの方がかなり少ないなど、集計方法が大きく異なるよう。

 長野・新潟の両県だけで全国のリフト輸送人員の4割を占め、長野主要23スキー場は長野県全体の75~80%、湯沢町新潟県の5割を占める。湯沢は全国のスキー場のなかで最もコロナの影響を受けたエリアかもしれないが、これらのデータと全国のデータの相関は高いだろう。

 長野・新潟以外では、近年は索道輸送人員数で新潟県を上回ることの多い北海道は、外国人観光客がいない影響がどれほど出ているかだが、長野・新潟ほどの落ち込みではないとみる。都道府県別で4・5番手の群馬県岐阜県は、日帰り客が多く、落ち込みは小さいだろう。

 これらから、冬期(12月~3月)の索道輸送人員数(2009~14年度:2.9~3億人、15~18年度:2.5~2.7億人、19年度:2億人)は、近年比6割程度の1.5~1.6億人と予想する。今後の長野県・新潟県の客数発表を踏まえて修正しつつ、年末公表の輸送統計にて検証したい。

志賀高原、さらにゴンドラ

 志賀高原は、今シーズンのパルスゴンドラ(山の駅(旧ロープウェイ)~ジャイアント)に続いて、発哺クワッドのゴンドラへの置き換えを計画しているよう。

 目的は夏場の誘客強化。東館ゴンドラ山頂駅のテラス(展望台)を駅舎全体を使って四方向に拡張するにあたり、そのアクセスの改善として、クワッドリフトをゴンドラに置き換える計画のよう。

 竜王岩岳のように、冬場も「滑らない観光客」を呼び込もうということでもあるかと思われる。(ゴンドラ3つ乗り継ぎとはいかにも面倒だが)

 しかし、スキーヤーにとっては、板外しての乗り降りは面倒なので、悪天候時以外は有難迷惑かと。初心・初級者にはやさしくなるかもしれないが、それならば最後の急斜面を何とかしないと。

 「一連の設備投資は2021年にも着手し、22年の夏に向けて完成を目指す。投資額は1億5千万円ほどを計画する。」とのことで、発哺クワッドの支柱をそのまま使うにしても、搬器だけでも1.5億円では収まらないと思うのだが、どこかから中古搬器を格安で仕入れられるのだろうか。

 志賀高原では、降雪機導入や廃墟取り壊しなどの助成金を活用した取り組みが活発だが、ゴンドラ新設もそうなのだろうか。

 だとしても半分だか2/3だかは自腹であり、設備投資に前向きなのはいいこと。とはいえ、それもこれも、コロナ後に観光客が、外国人も、通年でいえば国内観光客が戻って、いや、増えないことには続かない。

 震災でレジャー産業が盛り上がり、スキー客数も一旦は下げ止まったが、その後は雪不足続きで大きく低迷している。コロナでアウトドアレジャーに追い風が吹いている状態だが、これが雪山にも波及するのか、させられるのか。

 波及させられなければ、いよいよヤバい。

営業長期間化

 ラニーニャによる低温への期待で始まった2020/21シーズンだったが、1月中旬まで平年並みだっただけで(ここ数年のなかではそれでもずいぶん良かった方だが)、1月下旬以降は昨年をも上回るような高温が4月初旬まで続いた。

 12月中にまとまった降雪があったことでスキー場の営業開始は平年並み、2月・3月の高温で営業終了は早めのところが多かった一方で、4月以降はまた平年並みになったことで、その時点でそこそこ雪の残っていた高標高域や豪雪地域の営業期間は平年並みか長めとなった。

 おんたけ2240は予定を1週間延長して4/25まで営業、開田マイアは宣言通りGW営業を実現(最終日は悪天候により休止で5/4まで)、八方は4日延長して5/9まで、野沢は予定通り5/9まで、ARAIと熊の湯は最終日悪天候休止で5/15まで、横手山は予定通り5/16まで、かぐらは予定通り5/23まで、6/6予定(!)の渋峠は5/30まで、など。

 御嶽エリアでチャオの穴を埋めるようにマイアがGW営業に乗り出し、横手山は降雪機を導入して開始を11/14に前倒しするばかりかGW以降の営業に乗り出し、渋峠は6月営業目標を打ち出してゲレンデの延命に努めるなど、条件に恵まれたスキー場による営業長期間化の動きがみられる。

 ウイングヒルズ白鳥のように、頑張って4月営業しても滑走エリアの違いで高鷲スノーパークに客が流れるし、それだったら夏営業に力を入れた方がいいということで4月の延命営業に力を入れなくなったところもあるが、いくら設備投資と現場の頑張りで補っても、そもそもの地の利には抗えないのは仕方ない。逆に、地の利があるスキー場では、集客の通年化とともに、「雪で滑れる」ことの希少的価値が注目されているよう。

 実際、11月の人工雪ゲレンデ同様、GW後の営業ゲレンデはどこも賑わっているよう。11月は雪を作るのにコストがかかるように、5月は貯めておいた雪を運んで、営業時間中に薄くなった箇所に雪入れしてという維持管理にコストがかかってそうだが、採算は取れているのだろう。

 1970年代や80年代と比べると、降雪量は減り、冬の気温は高くなっているが、テクノロジーの進化と現場のノウハウの蓄積・運営会社の経営努力によって、10,11月と5月に滑れるようになって営業期間が延びているのはいいこと。

 とはいえやはり、普通に雪が降り(11月下旬~12月初旬に山にまとまった降雪があってオープンし、12月中旬の降雪で大部分可、クリスマス寒波か正月寒波で全面可)、シーズンを通じて平年並みの気温で推移してくれないと困る。

 そういった「普通」のシーズンはもう6年も訪れていない。来シーズンこそは、7年ぶりの「普通」を望む。

スノーボードは雪の上を滑り、スキーは雪の中を進む

 ここ何年か、パウダー、特に軽くて底付きしない深雪を滑る機会なんてほとんどなかったのだが、今年は何回かチャンスがあった。面ツルに飛び込むようなタイミングではなかったが、それでも膝まで埋まってもそのまま進んでいくような雪を滑るのは楽しいものだ。

 以前、北海道へ向かう時の機内誌にあった、大雪山でガイドをしてる人のインタビュー記事で、「スノーボードは雪の上を滑り、スキーは雪の中を進む」といった言葉が紹介されていて、とても納得したし、すごく、今も心に残っている。

 面ツルに飛び込んで、深く沈んで下半身が雪に入っていき、そこから押し上げられて雪の上に飛び出す感覚というのは、極太板やスノーボードよりも、細めのスキー板でこそ強く味わえるものだろう。

 もちろんそのぶん、つんのめったり、後傾になって板を振り回す羽目になったり(雪の中で振り回せずに止まったり、こけたり、立ち上がるのに苦労したり)しやすいわけだが。

 ある程度細い板の方が、雪の中に潜って浮上するダイナミックな深い上下ストローク運動が気持ちよく、極太板やスノボは、軽い雪の上に乗って、その柔らかさを広い面全体で感じる気持ちよさがあるのだろうと思う(想像)。 

 前後のバランスの取りやすさでいえば、足裏の長さの範囲で調整するスキーよりも、ナチュラルに開いた左右の脚の間隔の範囲で調整するスノーボードの方が簡単そうで、深雪のときとか、ストップスノーの緩斜面で板を走らせたいときとかは「スノボいいなあ」と思ってしまう。

 以前、毎年北海道に滑りに行ってた時は、センター幅80㎜の(当時の自分にとっては)セミファットの板を使っていたが、結局滑りの大半は圧雪の整地ということもあり、近年は、プレート付きでずっしり重い小回りデモ板と、R15のオールマイティな感じの板の2本で滑っている。

 しかし今年、軽い深雪に複数回遭遇したことで、底付きなしの面ツルバーンでも粗踏みされた柔らか深雪でも思い切って飛び込みやすそうで、しかもラクで疲れなさそうな(想像・期待)、太めの板がほしくなった。

 かといって、バックカントリーするわけではなく、やはり大半は圧雪整地なので、パウダーに特化したような極太板は、2本持ちだとしてもリスクが高い。

 朝のうちは太板で滑って、踏み荒らされたらデモ板で滑るために、2本ともゲレンデに持っていったり、車や宿に戻って板を換えるだとかの手間はかけたくないので、1本でどこでもそこそこ楽しめるオールマウンテン板がいい。

 ということで、センター幅90~100㎜くらいで、メタルだかカーボンだかの補強材が入っててカービングもそこそこ気持ちよさそうな板を物色中。

 2本持ちならもうちょっと太くてもいいのかなとも思うが、100㎜を超えると軽量化重視が強くなって補強剤入りは少なそうだし、板そのものの値段も高ければ、ビンディングの種類も減って安いのがなくなる。

 しかしフリースタイルの板って、メーカーも種類も多くないか。アルペンの板は長年の競争とレース実績によるブランドである程度数が絞られているが、フリースタイルは専門ブランドだけでなく、アルペン板ブランドも出しているから、種類が多い。

 まあ、安くで買おうとなると、結局は有名どころになるのだけど。

 それでも、デモ板に比べると生産数が少ないのか、大幅値引き品は少ない。

 じっくりと物色を続けることになりそうだ。

めいほうのリフト待ちがシンドイ

 1/31(日)、めいほうスキー場に行ってきたが、リフト待ちがひどいことになっていた。

 めいほうでは、リフト上の密防止対策ということで、異なるグループ間の相乗りはご遠慮くださいと呼びかけている。グループが違いそうだからといって排除することまではしてないが、結果としてクワッドリフトの平均乗車人数は2.6人程度となっていて、定員乗車に努めていた昨年に比べてリフト待ちが1.5倍になる計算だ。

 それよりも何よりも、相乗りレーンがないのがやはりきつい。

 めいほうの場合、第1クワッドが最も混むが、グループで来ている初中級者ばかりなので、通常レーンはうんざりするほど混んでても相乗りレーンは2,3分で乗れたし、相乗りレーン利用の多い第2クワッドでも、通常レーンと相乗りレーンの待ち時間が拮抗するということはなく、相乗りレーンで10分待ったことはない。

 この日は特に、第4クワッドが故障修理らしく終日運休で、これで輸送力的に待ち時間は1.3倍になる計算。その結果、リフト待ちは20分を超えることになった。

 それも、今シーズンは朝の客足が早く、営業開始1時間後の8時半にはもう、リフト待ちは10分超え。

 これまでだと、そこまで混むのは10時台になってからか、早くて9時半で、10時になって混んできたら休憩に入り、11時過ぎたら少し空く(食堂が混む)ので1時過ぎまで滑る、というのがパターンで、8時半なんてまだ飛び乗りできるくらいに空いててもおかしくなったのに。

 朝の客足が早いのは、これも密回避の時差出動なのだろう。食堂の混雑もピークが分散されているように感じるし、そのぶん昼食時間帯のリフトの空き具合もごくわずかであるように感じる。

 あまりの混雑ぶり(第4クワッド運休のお詫び?)に、この日は営業時間がクワッドは15分、ペアリフトは30分延長となったが、第2クワッドは16時の終了まで10分近い待ちが続いた。

 この日は前日に降雪ありの晴れ予報ということで、第3駐車場が埋まり第4駐車場が使われるほどの客入り。これまで第4駐車場が埋まった所は見たことがなく、未舗装の第4に車があれば「たくさん来たなあ」という感じだったので、客入りは例年と変わらない水準なのではないか。

 宿泊客、特に首都圏からの宿泊客比率が高いエリアは壊滅的のようだが、日帰り客中心のスキー場は、ゴルフやキャンプなどと同様、アウトドアレジャー好調の影響下にあるよう。これで近畿や愛知・岐阜に緊急事態宣言が出ていなければ、例年以上の客入りになっていたかもしれない。

 昼にホームページを見たら「密防止のため2070台程度で入場制限することとし、11時現在で使用率90%」という告知がされていた。

 第3が埋まって1700~1800ということか、と思って、改めてグーグルアースで第2駐車場の枠線を数えて見たところ、48*11=528台といった感じ。第3も同規模で、第1と第1西を合わせて第2の1.2~1.3倍といったところなので、確かに第3までで1700台強。

 駐車場は第5まであって、第4も第5も第2と同規模。ということは収容台数は2800台ほどのはずだが、ホームページには「広々3500台を収容」とある。

 いざとなったら、キッズゲレンデ下のスペースを除雪して、料金所手前のスペースも開放するということだろうか。それでも3500台にはなりそうにないし、料金所手前からゲレンデまで5~600mを歩けというのも今どき酷な話。第4駐車場の第3へと上がる階段付近でセンターハウスまで300mあり、ここを超えると板担いだスキーヤーにはキツかろう。

 話を戻すが、相乗り自粛の要請は、リフトで相乗りになった見知らぬ他人同士が互いに首を横向けて面と向かって会話することなどまずないので、「他人と肩触れる距離で隣り合わせになるだけで恐怖を感じる人」向けのポーズという意味合いが強く、感染拡大防止の実効性はという点ではほとんど意味がない施策だと思っている。

 客商売である以上、一定数存在するであろうセンシティブな人への配慮が必要なのは分かるのだが、だとしても、「異なるグループ間は1席空ける」程度で十分かつ妥当なのではないだろうか。

 そのために相乗りレーンを設けて、「3人グループはそのまま」「1人及び2人グループには相乗りから1人」だけでもすれば、平均乗車人数が2.6人が3.1人くらいになって待ち時間が16%ほど短縮される。

 相乗りレーンの進み具合はおそらく2~3倍になるだろうから、混雑時には10~15分待ちとなって通常レーンと拮抗することになりそうだが、それは仕方ない。

 効率と顧客満足の点から良いと思うし、そういう運用がされることに淡い期待を抱いてもいたのだが、めいほうのように親会社が上場企業だと特に、「対策不十分」と非難されるリスクを回避することが優先されるのだろう。

 リフト待ちはひどいことになっているが、そのぶん、ゲレンデ上の人口密度は例年より低い。輸送力が2/3になっているのだから、人口密度も2/3となって、これは結構大きい。とはいえリフト待ち長すぎ。

 バブル期を引き合いにして気持ちを慰める気持ちは分からなくはないが、あの頃はリフトの数が多く、そこまでの待ち時間にはならない不人気リフトがあったものだ。

 第4クワッドがちゃんと動けば15分待ち程度に収まるはずだが、それでも、9時から15時までずっとそれではきつい。2月の週末は避ける、という選択肢も考えねばならないかもしれない。