御嶽スキー場のクラウドファンディング

 現在(8/4~31)、御嶽スキー場がクラウドファンディング(CF)を募集中です。

 「ざぶん」の廃止を決め、ロッジ三笠を簡易宿泊施設と日帰り風呂へとリニューアル、第七休憩所やゲレンデ排水路のやり直しやリフトの座面交換もするのに800万円を目標として、目標未達だと集金しない方式での募集です。

 運営管理者のシシは、同じく運営を受託している木曽福島でも2年前にCFをやって達成(600万円目標に対して760万円)しているので、その成功体験もあってのことと思われます。

 どうせなら目標未達でも集金する方が安全でしょうに、あえて達成時のみ集金とするのは、毎年の赤字は数千万円であり1回800万円集めたくらいではどうにもならず、CFは危機感のアピールとファンづくりのためだからかと考えられます。また、達成時のみ集金とした方が目標額に向けて集まりやすいのかもしれません。

 ファンづくりのためだから、売上を先食いすることになるリフト券付きはメインにせず、グッズや寄付型が中心なのだとも思います。木曽福島のときもそうでした。

 とはいえ最多応募はやはりリフト券付きです。木曽福島では1万円でポスター・ステッカー・オリジナルイラストデザインのリフト券(100枚限定)でしたが、御嶽では5千円でポスターとリフト券(数量制限なし)とかなり実費に近くなっています。

 でも最多と言っても506人中184人(92万円)と1/3程度で、集金額は何の見返りもない純粋応援コース(1万円に51人、5万円に5人、10万円に3人、20万円に5人で計206万円)の方が多く、ちょっと驚きです。

 残り10日の時点で546万円(30.3万/日)でしたが、そこからの2日間で108万円集まって残り8日時点で654万円、その次の2日間では127万円集めて781万円ともう達成は目前、確実です。

 終盤にきてこれだけペースアップしているのは、時間とともに情報が拡散して支援の輪が広がっているということでしょう。このペースなら1000万円を超えるのも間違いなさそうです。

 それでもその程度では経営全体には焼け石に水ですが、これでスキー場の頑張りが知られ、ファンが増え、来場者が増えてくれることを願うばかりです。(あのアクセスの悪さでそうそう新規顧客がたくさん増えるとは思えないのが現実ですが…)

リフト券価格の爆上がり・二極分化

 来シーズンのリフト券価格がポツポツと出始めています。

 めいほう:5200→5500、ウイングヒルズ白鳥:5000→5500、御嶽:4300→4500、ニンジャ:3900→4500、戸隠:5000据置き、尾瀬岩鞍:5500→6000、など、「去年よりは上げ幅縮まるかと思ったけど、もしかすると去年と同じくらいになるかも」と思っていたら、五竜:6000→7500、ニセコ全山:8500→9500、という衝撃価格が飛び出しました。

 五竜の上げ幅(+1500)・上げ率(25%)は、去年のルスツ(6500→8800;+2300/35%)、軽井沢プリンス(5700→7500;+1800/32%)に次ぐものです。

 web購入なら6500円(初回はカード保証金の500円が加わって7000円)なので、実質は+500円ですが、webと窓口で1000円差をつけるのは珍しく、web販売に大きく舵を切った形といえます。

 販売の人件費抑制というほど窓口に人を割いていた感じでもないので、それよりもリフト券窓口に長時間並ぶことでの満足度低下の回避が目的でしょうか。

 これで八方が五竜を下回る値段にするのかどうか。

 客入りはもう8年連続で負けっぱなしなだけに、その点では五竜の方が高くても全く妥当なのですが、八方も窓口は6500→7500になりそうに思われます。

 そうなると、志賀高原も6500→7500になるでしょうか。ニセコビレッジ・ヒラフ・サホロ・富良野・キロロといった昨シーズン6500円以上のところは軒並み7000円オーバーになるかもしれません。

 2年前は6000円を超えるものが10もなく、7000円以上はニセコ全山の8100円だけだったのに、来シーズンは7000円超えが10を超えそうです。

 ニセコ全山は、2013年から400円,500円,500円と3年で1400円、2019年に600円、昨年に400円と大きめの値上げを連発してきましたが、今回の+1000円は過去最大の上げ幅・率となります。

 昨シーズン8800円のルスツがさらにどれだけ上げてくるかですが、最高値はニセコ全山が奪還ということになりそうです。

 去年大きく上げなかったところが大きく上げてくることはあると思いましたが、2年での値上げ幅が1000円を超えるところが続出するかもしれません。

 これは強気というよりも、ゴンドラや高速リフトを複数抱えるような大きなスキー場が近年の入込客数で設備更新して持続可能であろうとするなら、リフト1日券価格は5000円どころか6000円でもとても無理であって、背に腹は代えられず仕方なくの値上げなのかもしれません。

 ここ20年ほどの主要な170ほどのスキー場のリフト1日券価格の推移を見ると、平均価格も去年大きく跳ね上がりましたが、平均価格のバラツキを示す標準偏差はそれ以前から大きくなっていて、去年はやはり大きく跳ね上がっています。

 平均価格ともども底は2005年で、このときは454でした。その後の上昇具合は平均価格より大きく、2016年に500を超え、2020年に600を超え、昨年は790に急上昇です。

 平均価格に対する比率を見ても、2015年まで11%台だったのが2020年に13.8%になり、去年は16.3%となっており、「平均価格-標準偏差*2」の税抜き価格はずっと2900円台で変わっていません。

 170スキー場となると主要とはいえそれなりにローカルに近いところもあり、そういう安いところはほとんど値段が変わっていないけれど、高いところはどんどん高くなっているということです。

 今年の上げ幅・率が去年を超えてくるかはまだ分かりませんが、2年連続で大きく上がるのは間違いなく、二極分化も進んで標準偏差は拡大するでしょう。ただ、さすがにローカルに近いスキー場の値上げも進むことで「平均価格-標準偏差*2」は3000円を超えて高値を更新するのではないかと予想します。

ニセコワイス、2024/25シーズンにいよいよ復活?

 ニセコワイススキー場は2009年にリフト営業を休止、2015年にニセコ花園を所有する香港資本に買われてスノーキャット専用スキー場(スノーモービルパーク「ホワイトアイルNISEKO」)として利用されています。

 麓にあったニセコワイスホテルは2018年で取り壊されていますが、その頃にはもう花園とワイスをゴンドラで繋げる計画が出ており、新たにホテルを建て直す計画もあったものと思われます。

 その新ホテル建設がこの春に着工しました。

 2024年秋完成予定ということで、計画が出て5年以上経ってようやく、2024/25シーズンから営業再開となりそうです。ニセコワイスの麓エリアでは、2026年9月完成予定のホテル・グランピング施設群の計画もあるようです。

 計画当初の写真資料には、花園~ワイスは「GONDOLA TO WEISS」とあり、ワイスエリアには「NEW LIFT」として3本の線が引かれていました。

 花園のシンフォニーゴンドラ降り場付近からワイスのホテルまでは約2㎞あり、ここがゴンドラで結ばれます。

 ホテルから上に伸びるリフトAの線は、おそらく旧第2リフト降り場まででしょうか。だとすると距離が約1.7㎞、標高差は300m(460~760m)ほどになります。

 ホテルよりも西方向の低い位置から山頂方向へ(リフトB)と、そこからほぼ山頂付近へ(リフトC)も線が引かれています。

 リフトBの乗り場は旧スキーセンター付近でしょうか。このリフトBは旧第3リフト降り場付近(標高900m付近・リフト距離約1.5㎞)か、その少し下(標高800m付近・リフト距離約1.3㎞)あたりに見えます。そこから山頂付近(標高1020m付近)へは500~700mほどです。

 「中高標高への2本のクワッドリフトと、座席数の少ない山頂へのリフトを含む計画」という記述があるので、下からの2本(リフトA,B)は高速クワッド、山頂へのリフトC[は固定循環式のペアリフトと思われます。

 休止前よりも山頂方向に滑走エリアが拡張されるようですし、旧スキーセンターへ降りるのも、旧第3リフト・旧第2リフトのコースだけでなく、その南側がツリーランエリアのような形になるかもしれません。

 ニセコワイスは滑ったことがありませんし、営業再開がとても待ち遠しいです。

3年目のアースホッパー

 アースホッパー3年目となる2023/24シーズン利用分の内容と早割販売開始が発表されました。

 リフト券以外のグリーンシーズンの利用は増えて充実しているようですが、リフト券利用については、スキー場数は変わらないものの大手の撤退が目立ち規模縮小となっています。

 今回対象スキー場でなくなったのは、札幌国際、ニセコアンヌプリ、青森スプリング、パルコール嬬恋、神立、栂池、ハチ・ハチ北、の7か所(8スキー場)です。

 2年目に消えた五竜・47と車山も含め、どこも「なぜこの企画に参加した?」と思うような、地域を代表する人気ゲレンデばかりです。コロナ禍にあってとりあえず参加してみたものの、メリットが薄い(なくなった)と判断されたのでしょう。

 代わって新規参加となったのが、名寄ピヤシリ蔵王ライザ、蔵王すみかわ、会津高原南郷、タングラム、白馬コルチナ・乗鞍、あわすの、の7か所(8スキー場)です。どこも各地域の中堅どころの人気・規模でしょうか。

 価格については、昨年は早割発表時の通常価格が実際の発売時にスタンダード(計16回利用可)で1割、アンリミテッドでは2割の大幅値上げがあり、早割価格が同程度以上値上がりするのは避けられないとは思っていましたが、スタンダード・アンリミテッドともに33%値上げと、思った以上の幅での値上がりとなりました。

 1スキー場2回までとはいえ、1年目の29,800円で総回数無制限というのはさすがに安すぎ、コロナ禍ならではの破格設定だったと思われ、昨年の計16回までで早割29,800円、無制限45,000円でもまだ割安感がありました。

 昨年は通常価格が、当初発表のスタンダード35,000円が実際の発売時には38,800円に、無制限が49,999円から60,000円へと上げられたので、今年は通常価格は据置きか数千円程度の値上げとして、早割はスタンダードで3.5万円前後・無制限で5万円台前半程度を予想していたのですが、それぞれ早割が39,800円・59,000円、通常が42,800円・65,000円となりました。通常価格の値上げ幅はまだ想定内ですが、早割は割引率縮小で予想より高かったです。

 無制限がスタンダードの1.5倍程度というのは変わりませんでした。無制限にすることでスタンダードよりも1回あたりを安くするには、スタンダードの1.5倍となる24回の利用が必要です。一般的な行動範囲で考えると、首都圏在住の人以外にとっては無制限のハードルは引き続き高いと言えそうで、早割でも5.9万円となると躊躇する人が増えそうです。

 スタンダードに関しては、16回フルに使えば、昨年は早割なら1回2千円以下だったのが、今年は約2500円となります。昨年は当日1日券の値上げが大きく、今年も昨年ほどではないでしょうが引き続き値上げ(昨年値上げを見送ったスキー場の値上げや、昨年小幅値上げだったところの2年連続値上げ)が見込まれる状況であり、その中で2500円というのは早割1日券と比べても十分に安いのですが、4万円の出費となるとシーズン券と比較した時に微妙になってくるようにも感じます。

 昨年は早割発表時以降、8月に3か所、9月に3か所、10月に2か所の計8か所の追加があり、うち3か所は1年目参加スキー場でしたので、今のところ消えている7か所の復活や新規追加の可能性はあると思われ、期待したいと思います。

ひだ舟山スノーリゾート アルコピア、廃止から一転して営業継続?

 岐阜県高山市にある「ひだ舟山スノーリゾート アルコピア」は2022/23シーズンをもって廃止となりましたが、これを継続させようというクラウドファンディングがありました。地元で13年ロッジを運営している人の主催で、3/11に目標金額200万円で開始し、4月末までの募集期間に294人から451万円を集めていました。

 募集ページには「突然市より閉鎖すると告げられました」とありますが、2020/3/14の岐阜新聞で「岐阜県高山市は13日、市内の市営スキー場2カ所のいずれかを廃止する考えを示した。」(2か所とはモンデウスとアルコピア)と報じられ、2022/4/14には「高山市がアルコピアの廃止方針を固めた」と報じられて4/20にその廃止方針を発表しており、突然ではないと思います。地元ならなおさら、決定発表前に話があったのではないでしょうか。

 このクラファンの主催者は「どうにかならないかと何度も何度も市に掛け合い、スキー場を買い取り経営を継続させてもらえる形に進めることが出来ました」として

「今後私がアルコピアスキー場の経営を引き継いでいく中で、冬のスキーだけでなく、夏場はキャンプ場や音楽のライブイベントをし、またフォレストアドベンチャー(アスレチック)なども建設していきたいと思っています。アルコピアスキー場をテーマパークのような、みんなが楽しめる場所にしていき、オールシーズン利用できる施設を作っていきたいと思っています。」

と夢を語られていますが、コロナ前でも2015~2018年度の4年間で9千万円の赤字であり、当座の費用として数百万円の資金を募ったところで、市の許可があれば1年やってみることは可能かもしれませんが、継続は極めて困難なのではないかと思われます。

 これについて、高山市から正式な発表はなさそうです。

 昨年12月の市議会定例会で、廃止後についての議員からの質問に対して市側は

「施設の撤去に3年を見込んでおり、借地部分については令和5年4月からの3年間の土地貸借契約の延長を交渉している」

と回答されており、この時点ではまだ撤去予定です。これに続けての

「アルコピアを年間を通じた民間のレジャー施設として活用し、地域の活性化を図りたいという強い思いを持ち、準備を進めている地元の若い事業者がいる。会社を立ち上げて、森林空間を活用したアクティビティ施設も設立し、人気のヒマワリ園の開催や、伝統ある全日本ラリー選手権なども継続して受け入れ、施設を運営したいと考えられている。こうした意欲ある取組に対して、市としてスピーディーに策を講じるべきではないか」

という質問に対しても

「地域振興策の一つとして考えさせていただく」

と煮え切らない回答でした。この議員は早急な検討(イメージとしてはおそらくシーズン終了までの決定)と、施設の無償譲渡の検討も要望していますが、その後の情報がありません。

 その後3月までの間に高山市との話が進展して実際に会社を立ちあげ、高山市所有の施設を買い取る(譲り受ける)ことになってのクラウドファンディングなのだと思いますが、市の発表も報道も見つけられませんでした。

 このスキー場はもともと高山市の所有であり、継続を支持する地元利害関係者も多いことから、継続のハードルはまだ低い方だとは思われます。クラウドファンディングは目標金額未達でも募集者の手に渡るもので、そこに400万円以上集まっているので、チャオ御岳とは違って事業継続の見込みが極めて高い(と出資者は考えて出資した)ということだと思いますが、信頼できる情報がほしいところです。

岩岳の近未来像予想(妄想)

 日本スキー場開発㈱が、岩岳山麓エリアにある敷地の一部を、不動産(ホテル)開発を進めるために、有力な不動産ディベロッパー(国内法人だが現段階では非開示)に対して土地の譲渡に関する優先交渉権を設定したとする発表をしています。物件引渡日は早くとも2024年と想定しているとのことです。

 スキー場に隣接する土地を早い時期に買い取っていて、再開発時にホテル誘致を検討しているというのは、ここ数年、一時期のマックアース社長に代わって「スキー場再生人」としてメディア露出の増えている岩岳リゾート社長のコラムだったかインタビュー記事だったかにもありましたが、貸地にして誘致するのかと何とはなしに思っていたので、土地売却というのは少し意外でした。ディベロッパーはその方がやりやすそうですが、岩岳リゾートとしても資産はなるべく持たずに運営に徹するのが良いということなのかもしれません。

 売却するのは「敷地面積:約 40,000 ㎡の一部(岩岳リゾートが自ら建設するスキーセンター等の予定地を含む)」ということですが、現在のゴンドラ山麓駅やその前のロータリーから、南側の長いペアリフト前のレストハウスやその奥の第2駐車場までで、2万m2ちょっとぐらいでしょうか。メインの駐車場も同じくらいの感じです。

 早い時期に買い取った隣接の土地というのはおそらく、来年12月完成予定の新ゴンドラ山麓駅ができるであろう、現在のゴンドラ山麓駅の北側、旧パラダイストリプルリフト乗り場付近一帯の平坦地ではないかと思われ、ここも同じく2万m2ぐらいの感じです。

 合計6万m2以上になりますが、これらのうちの約4万m2を所有していて(メイン駐車場が岩岳リゾートの所有ではない?)、その一部を売却するということのようです。

 岩岳では現在、チケットセンターや更衣室、ロッカー、レンタルショップ売店、レストラン、スクールカウンターなどのベースセンター機能が複数の建物に点在していて、これらをまとめた新ベースセンターを新ゴンドラ建設後に整備する予定もあり、これは新ゴンドラ山麓駅付近に作られるのかと思われます。

 そうなると、買い取ったのであろう土地を売ってそこにホテルが建つのではなく、買った土地に自社施設を集約して以前からの土地をホテル用に売る、ということかと思われます。買った土地に新ゴンドラ&新ベースセンター建設→現在のゴンドラから第2駐車場にかけてを更地にして売却→ゲレンデ直結のホテルが建設される、でしょうか。

 広い土地があってホテルもスキー場が所有・運営するなら、ベースセンターもゴンドラ山麓駅もホテルも一体化するのがいかにもリゾートっぽくってよさそうですが、それは投資額的にもリスク的にも難しそうです。現在の土地で運営しながら新たに作って機能を移してとなると、上記の段取りがよさそうです。

 買った土地に新ゴンドラ山麓駅と新ベースセンターだけで2万m2ということはなく、そこには大型バスの乗降・待機場もできるでしょうが、一般客向けの駐車場はできても有料かプレミア客向けになりそうで、メイン駐車場からは今よりも少し遠くなりそうです。

 資金が潤沢なら、新ゴンドラ完成後すぐ、2025年のグリーンシーズンのうちに新ベースセンター建設に着工し、完成までいけるでしょうか。建設と並行して既存施設の取り壊しを進めれば、2026年グリーンシーズン時にはホテル建設の着工も可能かもしれません。であれば最速で2028年の開業でしょうか(そんなにトントンとは進まないでしょうが)。

 グリーンシーズンの客の方が多くなったとはいえ、冬以上に日帰り客比率が高いのではないかと思われます。「世界水準のオールシーズンマウンテンリゾート」を目指すとしていますが、夏の滞在客、特にホテルに長期滞在するとなると外国人客や比較的富裕な層ということになり、夏にそういった客層の呼び込みはニセコでも多くありませんし、白馬エリアとしてもまだまだこれからかと思われます。

 岩岳のホテルというのも、ディベロッパーとしては投資リスクを考えると、通年営業の大型ホテルよりも、ニセコで建設されているものの多くがそうであるように、貸出利用を想定した分譲コンドミニアムになるのかもしれません。(ディベロッパーとしては分譲販売した時点で投資回収できる)

 ホテルは個人的には関係しませんし、何ならベースセンターだって個人的には今のままでもまったく構わないのですが、岩岳リゾートの経営が順調に運び、リフトがこれ以上減ることなく順次更新されていくことを願うばかりです。

菅平、ICSを導入して10/20前後のオープン目指す

 菅平高原が裏太郎ゲレンデのファミリーコースに人工造雪機(ICS:アイス・クラッシャー・システム)を導入し、9月中旬から造雪を始めて10/20前後のオープンを目指すと発表しました。

 当初のコース幅は15m弱とイエティなどと同様のヒモゲレンデですが、コースの標高差120mは、関東圏で11月上旬までにオープンするゲレンデ(ICS及び横手山)では最大となります。立地面ではイエティや軽井沢プリンスに劣りますが、この時期に滑りたがる人には大きなハンデにはならないでしょうから、それこそイエティや軽井沢プリンスと同等かそれ以上の人気・混雑が予想されます。

 12/8までを早期営業期間として、この期間はシーズン券不可で、営業時間は9時~15時、ただし混雑時は午前(9時~12時半)と午後(11時半~15時)の入替制(1日券を販売しないということ?)とする場合があるということです。経営判断として妥当と思われ、他に天然雪ゲレンデが続々とオープンするまでの休日は入替制になるのではないでしょうか。

 片道3hかけて3.5hしか滑れないとか、6h滑ろうと思ったら半日券を両方でおそらく1日券の1.6倍くらいの料金になるのは残念で、それなら9時-12時・13時-16時の2部制にして12時-13時にゲレンデ整備してくれてもよさそうです。(ザウスが思い出されます)

 かつて岐阜県奥美濃エリアには4つのICSゲレンデがあり、しかも鷲ヶ岳とウイングヒルズ白鳥はコース長1㎞前後、標高差200m前後と、イエティや軽井沢プリンスの2倍以上の規模のものでした。だからこそ続けられなくなったのかもしれませんが、コース長は500mそこそこですが標高差が140mあるホワイトピアたかすには何とか続けてほしいものです。

 設備費も運用コストも人工降雪機よりも相当に高いであろうICSを導入するのは、なかなかに思い切った経営判断だと思います。報道発表資料には

「冬の修学旅行は、催行時期が年々早まっている傾向にあり、例年予定通りにスキー場をオープンできるかどうかの判断が難しいことが多々ありました」

とあり、12月上旬のオープンを確実にしたいということもあるでしょうが、それだけなら気温の低い菅平なら、同じ予算で通常の人工降雪機を多数導入して滑走エリアを広くした方がよいようにも思います。

 トマムが、予定変更の難しい外国人観光客向けに、オープン予定時期に確実にオープンできるよう、北海道では珍しく人工降雪機を導入していますが、菅平もそれに近いと思われます。

 ただ、今回の対象ゲレンデは、上部は特にそれなりの中斜面であり、初心者の多い修学旅行生向けではありません。修学旅行の催行時期が早まっているといっても、2月下旬や3月だったのが1月や12月下旬が増えているということと思われ、修学旅行向けにはICSはほとんど関係ない、あるとしても最悪級の雪不足に備えた保険という位置づけになるのではないかと考えられます。

 報道発表資料には

「選手活動をされている方々は早く雪上トレーニングができる環境を探して、海外遠征に行くこともあります。早い時期に確実にオープンできることで団体や選手層の方々は安心してスケジュールが組めることができ、トレーニングを開始できます 」

ともありますが、こちらはさらにこじつけ感が強いように感じます。

 確かに皆川賢太郎氏はSAJの競技本部長時代に「年中滑れるスノードーム」はレジャーだけでなくトレーニングにも有用であると語っていましたが、10月下旬というとヨーロッパで大会が始まる時期であり、海外遠征に行くクラスの選手がその時期にトレーニングに使いたいと需要がどれほどあるのか。海外遠征をさておけば、早朝貸切営業をすればそれなりの需要はありそうですが。

 いろいろと副次的な目的を述べていますが、基本は、イエティや軽井沢プリンスの混雑を見て、あるいは横手山の様子を見て、菅平の気温(対象ゲレンデの標高1320~1440mはイエティとほぼ同じ)や立地なら採算が取れると考えたということでしょう。

 イエティは最速を譲らないでしょうから、菅平のこの「10/20前後のオープンを目指す」というフワッとした発表を受けて、10/13(金)と過去2番目に早そうな日付とするのか、最速タイでよしとして10/20(金)にするのか。

 いずれにしても10/20に2か所となると、2017年にイエティが10/7(これが最速)、狭山が10/21にオープンしたのを上回ることになり、菅平が10/21になったとしてもこの時期に屋外スキー場2か所というのは日本史上初ではないかと思われます。

 そうなると、10/21,22や28,29の週末の混雑がイエティと菅平でそれぞれどうなるか。菅平なら行こうという新規顧客はそう多くなさそうなので、総客数が大きく変わらないのなら、1か所が2か所になることでイエティのオープン週末の客数は半減、あるいは最初ということで菅平に流れてイエティは穴場になったりするのか。それとも例年ほど混雑しなさそうならと合計客数が増えたりするのか。

 軽井沢プリンスが例年どおり11/3オープンとすると、11/3-5の3連休のこの3か所の混雑はどうなるのか。さらにその翌週には横手山がオープンしているかもしれません。

 名古屋・大阪の人にとってはウイングヒルズのICS営業休止でシーズンオープンが2週間遅くなるという人が増えそうですが、首都圏の人にとっては10月下旬から11月上旬の選択肢が増え、混雑が緩和されて、喜ばしいシーズンになりそうです。