伊吹山スキー場

 先日、伊吹山を登ってきた。伊吹山に行くのは初めてで、2007/08シーズンまで営業していたスキー場を滑ったこともない。

 2010年にリフト撤去されてから10年になるが、登山口付近には往時の看板が残っているし、登山コース上からはゲレンデであった景色が見て取れる。冬には今も山スキーに興じる人が少なくないようだ。

 登山口から1合目までは山道だが、1合目の前にはゲレンデ的景観が広がっていた。2合目休憩スペースの前の道路はいかにも連絡コース。3合目がゴンドラ山頂駅付近で、廃墟となっている伊吹高原ホテルが佇んでいる。3合目の東側にゲレンデ的景観が広がり、その奥にはかつてゲレ食であったのであろう建物が、遠目には意外と綺麗に見えた。

 3合目でようやく山頂への景観が見える。急な斜面をジグザグと登山道が通っているのが分かる。4合目付近にコンクリートの土台が残っていた。リフトの支柱だろうか。5合目を過ぎて6合目手前あたりからいよいよジグザグルートへと入っていく。数m雪が積もればすべて隠れて、深雪を滑ると気持ちよさそうな斜度だ。

 改めて古いゲレンデガイドをみた。

 2005年で運営者が変わって「ピステジャポン伊吹」になっており、そのピステジャポン時代の2008年は3合目東ゲレンデから上しか滑れなくなっている。

 1998年のゲレンデガイドを見ると、ゴンドラとは別に麓から上がっていける「山麓リフト」、1合目から2合目にかけての「1合目リフト」、2合目から3合目にかけての「2合目リフト」があり、2合目リフト区間の「西日本コース」に最大斜度33度の斜面があったことになっている。

 3合目(ゴンドラ)東側の快適そうな中斜面が3合目ゲレンデで、短いシングルリフト2本とペアリフトの3本のリフトが並行していた。しかしペアリフトで335mと短い。

 ゲレンデガイドには3合目ペアリフトは標高差130mとあり、それが本当なら勾配は40%近く、短いとはいえ八方・兎平のリフトより急。見た感じそんな急ではなかった。長さと標高差のどちらか(若しくは両方)が間違っているのだろう。

 ということで、グーグルマップ(アース)と国土地理院の地図で調べてみる。ゴンドラの標高は760mで、ゲレンデガイドによるとピステジャポン時代のボトム標高は670m。ということは最大でも標高差90m。ゴンドラ横から東に335mでちょうど樹木のないエリアの端(その先は急斜面)あたりになり、標高も670m。長さは正しいが標高差が間違っているよう。

 長さ335mの標高差90mなら勾配27%となり、八方の黒菱クワッドやパノラマペアと同等。黒菱クワッドより60m長く、パノラマの半分の長さ。幅もあってフラットだったから、快適な中斜面だったろう。

 ゴンドラの上の4合目リフトは長さ433mの標高差70mで勾配16%の緩斜面、3合目ゲレンデの上の5合目リフトは長さ431mの標高差125mで勾配29%の中斜面。トップ標高855m(地理院地図からはもうちょっと低そうだが)から3合目ゲレンデボトムの標高670mまでの標高差185mを700mほどのコース長なら、ちょうど八方のパノラマゲレンデと同等(リフト乗り継ぎ必要だが)。

 1合目リフト・2合目リフトもそれぞれ、勾配29%・36%程度だったようで、初心者向きの緩斜面は4合目リフトのコースしかなかったのかもしれない。何となく、初級者・家族連れ向けのスキー場のイメージだったので、ちょっと意外。

 6合目から上は、7合目までは斜度にして30度弱、7合目から9合目までは35度超えの急斜面となる。9合目(標高1340m)から6合目避難小屋(標高980m)まで、標高差360mで直線距離640m。やはりパウダーなら気持ちよさそうだ。